養成課程 札幌での生活から修了式まで
札幌商工会議所は、札幌時計台の隣です。実習で割り当てられた部屋によっては時計台を見下ろして1時間ごとに鐘の音を聞きました。南側向かいに札幌市役所、東側向かいに創生スクエア(図書館や市民交流プラザが入る)、テレビ塔に向かう帰り道は買い物天国。お高いものからお安いものまですべて手に入る、最高の立地条件でした。緊急事態宣言が出ていなければ、外食も楽しめたでしょうけれど、休業しているお店が多かったです。
ところで札幌の賃貸物件の多くはクーラーがありません。不動産屋さんにも、受講仲間にも札幌では必要ありませんと言われていました。2021年夏、札幌でマラソンが開催される前10日間ほどの最高気温は35度前後だったと記憶しています。マンスリーマンションに扇風機はありました。自宅からサーキュレーターも念のため持参しましたが、7月下旬から8月上旬の30度超え日数は史上最高でした。隣のホテルに泊まろうかと何度も悩みました。
最後の実習を終えて、診断士2次試験に似た筆記試験がありました。事前に2次試験用にまとめたノートを読み返しましたが、「この試験作った先生は誰だ?」と恨みたくなるほど、まとめノートは何の役にも立たずに難しかったです。筆記の後はテーマの違う面接が2回。あの優しかった指導員の先生が面接の時、かなり突っ込んだ質問をします。「え?先生、私渡部だよ、どうしてそんなに冷たい質問するの?」と心で泣いていました。まるでアカの他人のような口ぶりで攻めてくるわけです。汗が噴き出ましたが、それが先生の他人のふりの演技力によるものか、ホルモンバランスの乱れによるものかは未だ判明していません。
終講式当日、「本当に今日は商工会議所に行っていいのか」という不安を抱え、一番最初に会場に到着。誰もいない会場。私だけ、違う会場なのか?とビビります。面接の結果によっては落第する可能性があるわけです。
厳格な式典の後、やっとほっとして、事務局のお世話になった方々に(誠にご親切丁寧に温かく接して下さった)ご挨拶した途端、ぽろぽろと涙が出ました。なぜ私は泣いているのでしょうか。
1. 養成課程は2次試験に合格できなかった人の救済の場と言われているが、倍率は高いし、受講生の能力は高いし、受講内容は極めて現場に近く、実務補習(2次試験合格者が受ける実習)以上の成果を求められ、応える努力をしたから。
2. 演習も実習も、成果物がある。そこに至る過程で、受講仲間の優れた面を知り尊敬するし、私自身も内容によっては頼りにされることもあった。仲間に恵まれて、助けられ、笑い合い、愚痴を言い合い、真の友達を作ったから。その仲間との別れがつらかったから。
3. どうしても診断士になりたかった。なぜならば、研修講師として組み立ててきた研修プログラムは、企業の経営計画に沿った内容で実施すべきで、私の特性であるコミュニケーションスキルと心理マネジメントを生かせる職業が中小企業診断士であったから。
4. ホルモンバランスの崩れによって涙が排出されたから。
ちなみにこれ4択ではありません。「なぜ泣いているのでしょうか」と質問して4つ自答し、挙げました。1つ2つにまとめられません。診断士の試験に触れたことのある方はご存知でしょうけれど、2次試験は「収益が悪化した要因は何か」のような設問が繰り出されます。回答は、大体2つか多くても3つにまとめるのが鉄則と言われます。「最大の要因は…」と言われたら1つだけしか答えてはいけません。
4つも回答するから、私は2次試験に落ちたんだなあ。
いつか診断士の卵の方々が、これを読んで不安を解消して下さることを願って。
2021年11月