登録養成課程について受講生が語る記事が少ないので、後進のため私の経験を2回にわたり掲載します。
中小企業診断士として中小企業庁に登録するためには、1次試験に合格後、2次試験に合格するか、または養成課程を受講しなくてはなりません。(正確に申しますと、『受講し、評価点を落とさず最終面接で合格すること』なのですが、詳しくは後述します)
養成課程は全国に14か所あり、6カ月から2年間でカリキュラムが組まれています。(6カ月は平日、1年は平日と土日等、2年はもっと隔日で)
私は2020年に1次試験に合格後、2次試験不合格を予想し札幌商工会議所の養成課程(6カ月)に申し込みました。定員は24名、後に聞いた受験者数は40名でしたので、入校出来て本当にラッキーでした。
2021年3月、憧れの札幌に引越し。田舎から大都会の真ん中で生活をすることに喜び、主人のご飯を考えなくてよいことに喜び、同じことを勉強していた人(年齢は20代から60代、女性は私を含めて3名、銀行、支援機関が6名、北海道外11名)と話せること(独学者にとってはこの上ない幸せ)に喜びました。
カリキュラムは演習が384時間、実習は5社350時間です(ここはどの養成課程も同じだと思います)。1つの演習テーマは、1日から3日間かけ、4、5人のグループに分けられます。グループ編成が変わりますから、毎回班長、書記、発表者、タイムキーパーもその都度決めます。毎回のグループ分けで4月末くらいになると受講生同士の理解も深まります。講師のほとんどは、北海道中小企業診断協会の診断士の先生たちで、大学校で活躍された先生や協会の重鎮の先生も数多くいらっしゃり、何よりも「こんな事例があった、昔はこうだった」という話を聞けることが私の最大の関心事でした。
演習はテーマに基づき企業の事例が紹介され、課題が出されるので、前日までに個人的に考えたことをまとめておき、当日はグループで討議し、設問に応じてExcelかPowerPointにまとめ、発表、成果物提出という流れです。途中、緊急事態宣言が出されたためzoom演習となりましたが、ホワイトボードの前で話し合うより、スプレッドシートでまとめていく方が私の場合は、頭が整理されていくのを感じていました。演習の中でも「窓口相談業務」を実感するために、先生が相談者となって私たちが回答をするという課題がありましたが、あの時の指導の先生はまるで本物の中小企業の社長さんになりきっていました。「先生、役者じゃのう」と感動しました。忘れられません。
実習は、1社当たり10日間。6人から8人のグループに1人の指導員がつきます。指導員が予め企業にヒアリングしてきた基本事項に沿って、社長にヒアリングしたいことをまとめ、ヒアリング調査の後に競合店調査を含む内外の環境分析を行います。製造業の場合は、作業をビデオで撮影することもありますし、社長以外の従業員へのヒアリング(社長という立場では見えてこない事実がわかることも…)やお客様アンケートも行います。(貴重な体験としては、ある企業の経営会議をzoomで視聴できたことでした)その都度役割分担を決めますが、中には「その質問事項、必要?時間が限られているのに」という項目を押してくるメンバーもいますし、電車やバスで移動することもありますから、グループ内での役割分担もとても大切、私の場合はメンバーを見て「私にこの担当をさせて下さい」と申し出ることが多くありました。
実習の最終日は診断報告書を持参し、経営陣にプレゼンテーションを行います。wordで1社当たり100ページ前後です。最初は、そんなにたくさんのページを書けるかなと心配でしたが、グラフや表、写真を入れるとあっという間にページは嵩みます。あれを読む社長も大変だったと思います。基本的にPowerPointでプレゼンしますが、ページ数に制限を設ける指導員もいれば、制限しない場合もあります。プレゼンの予行練習を行う場合もありますし、「個々に○分以内で練習してきてね」という指導員もいます。実習が1社終わるごとに、通信簿のような評価をもらいます。最初は評点を気にしていました(評点によっては途中退校となるから)が、後に所見に書かれた内容が私には力になりました。指導の先生は、まあ本当によく受講生を見ていらっしゃる。そして温かい言葉をかけて下さいました。
2021年11月